20180803
家から10分ほど、駅に向かって歩くと一軒のお家がある
そこの空っぽの駐車場には、たくさん本がつまった本棚と、たまに使い古しの家具、「ご自由にお持ちください」と少し雑に書かれた紙が置いてある
本を読み終えてしまうと時々そこの本棚を覗かせてもらう
そうでなければ、自分の好きで選ぶ書籍以外と触れ合う機会がないからだ
今回はそこの本棚から太宰治の『斜陽』をひろってきた
捨てる神あれば、拾う紙あり
たくさん読まれた形跡があって白、というより黄色いページをめくって読み始める
私は普段、純文学はあまり読まないけれど、戦後文学には興味がある
斜陽は、どのような話か全く知らずに読み始めたが戦後陥落していく貴族を描いたものですぐに引き込まれた
主人公(かず子)は恋と革命の為に生きようとする、その一方で最後の貴婦人である母は病にかかり、復員してきた弟は麻薬中毒とアルコール依存者
あるひとつの一家が破滅していく姿が描かれている
「真の改革のためには、もっと美しい滅亡が必要なのだ」
こんなことが、戦後どれだけあったのだろうと思う
最近は横溝正史の金田一シリーズにいまいちどハマっていて、戦後文学というものに興味が出てきた
好きな作品を別の視点で見るのも、また面白い
- 作者: 太宰治
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1988/05/16
- メディア: 文庫
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